我が国のぜんそく有病率は、成人の5%程度(成人ぜんそくの患者数は約500万人)と推定されています。吸入ステロイドを中心とした吸入治療の普及により多くの方は、健康な人と変わりない生活が送れるようになっています。しかし、成人ぜんそくの約1割は、このような吸入治療を受けてもコントロール不良な「難治性ぜんそく」とされています。
近年、これらの難治性ぜんそく患者さんに対する治療として生物学的製剤が用いられるようになり、ぜんそく治療が飛躍的に進歩しました。呼吸器内科では、治療にお困りの患者さんのために「難治性ぜんそく外来」を開設しました。
呼吸器内科 髙橋浩一郎
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新年明けましておめでとうございます。
皆さま健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。
2025年(令和七年)は、の干支は、巳年。へびは脱皮を繰り返すことから、「生命力」や「再生」を象徴するといわれているようです。
私ども、呼吸器内科は新たな年も「地域医療」の要としての役割を果たすべく、日々精進してまいります。本年もご指導のほど宜しくお願い申し上げます。
2024年度日本呼吸器学会、呼吸器専門医試験に、当科から早瀬百々子先生が合格されました。日々の研鑽の積み重ねの成果です。今後も「呼吸器専門医」として、医療に取り組んでいただきたいと思います。
「Molecular mechanisms and clinical impact of biologic therapies in severe asthma」
田代先生の重症喘息における生物学的製剤の有効性とそのメカニズムについて著したReviewが「Respiratory Investigation」に掲載されました。
喘息患者のおよそ5-10%を占めるといわれている重症喘息患者に焦点を当て、近年注目されている生物学的製剤を中心に、分子メカニズムから臨床における治療効果について幅広く紹介してあります。
2024年12月7日(土)に、睡眠時無呼吸症候群に関する市民公開講座が開催されました。JCHO佐賀中部病院、睡眠時無呼吸センター センター長の門司恵先生(呼吸器内科同門医師)から同院での取り組みについての講演がありました。JCHO佐賀中部病院 副院長の内田賢先生(呼吸器内科同門医師)から、地域医療における取り組みなどについての説明がありました。2023年4月の睡眠時無呼吸センター開設以来、受診される方が増えているとのことでした。多くの市民の方に参加いただき、睡眠時無呼吸症候群を知っていただくことができた、実りの多い講座でした。
厚生労働省が定める国民の健康に関する取り組み「健康日本21」をご存じでしょうか?健康日本21では、がん、循環器病(脳血管疾患・心疾患)、糖尿病(メタボリック症候群を含む)と並んで、COPDが取り上げられています。しかしながら、COPDの認知度はまだ高いとは言えず、診断を受けていない・治療を受けていない患者さんが多いことが問題となっています。 日本における推定患者数が約530万人といわれていますが、治療を受けているCOPD総患者数は約36.2万人と一部の患者さんのみです。残りの約500万人が受診していない、または正しく診断されていません。COPDを放置するとかぜなどの呼吸器感染症を契機に症状が悪化し(増悪)、命に関わる場合もあります。
私たちは、新聞などのメディアを通じて、疾患の啓発に力を入れております。2024年11月30日の朝日新聞に、髙橋浩一郎診療教授のCOPDに関する取り組みの記事が掲載されました。
毎年、11月第三水曜日は「世界COPDデー」です。以前は、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた疾患ですが、飛躍的に治療が進歩しております。薬剤治療では、長時間作用性気管支拡張薬の吸入を1日1回または2回定期的に使用します。呼吸リハビリテーションと組み合わせることで、健常な方と変わりのない生活が可能になってきました。高齢者に多い疾患ですので、高血圧や糖尿病、心血管疾患などとの合併が多いため、複数の診療科で協力し、COPDの診断・治療をより良いものにできればと考えております。
2024年11月20日(水)、佐賀新聞の朝刊に、髙橋浩一郎診療教授のコメントが掲載されております。
2024年11月15日(金)、16日(土)に、名古屋国際会議場において第34回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会学術集会が開催されました。当科からは、髙橋診療教授、栗原助教、大学院(修士)の日高晴菜先生が発表しました。学会を通じて、医師、理学療法士、作業療法士、看護師、薬剤師と多職種連携の役割がますます大事になってきていることを実感しました。
●演題D1-004:日高晴菜先生
「COPD患者の軽度認知障害の有無と身体能力、身体活動、自己管理能力、生きがいの差の検証」
●演題 D1-008: 栗原有紀先生
「COPD患者において座位時間と歩数の変化量は相関しない」
●セミナー(Meet the Expert for COPD): 髙橋浩一郎先生
「10年先を見据えた未治療COPD患者に対する初期治療」
佐賀県感染症等医療提供体制強化事業の一環として、昨年11月から開催している呼吸器内科育成セミナーの第3弾を11月9日に開催いたしました。
今回は、冬季のワクチン接種の時期を迎えるにあたり、押さえておきたいワクチンのあれこれについて、田代講師からのワンポイントレクチャーを、また、呼吸器内科の特色とキャリア形成について、髙橋准教授からの説明を行いました。
そして、実技演習として、胸水穿刺・胸腔ドレーン留置のハンズオンセミナーを実施いたしました。小宮助教から胸水穿刺・胸腔ドレーン留置についてのレクチャーを受けた後、実技演習モデルを使用して、参加者の方1人1人に両方の手技を行っていただきました。演習では好生館の岩永呼吸器内科部長にもご指導いただき、具体的なアドバイスを聞きながら実践に即した学びの機会となったのではないかと思います。
また、途中のお菓子休憩、セミナー後の懇親会では、参加者同士での情報交換や、呼吸器内科医師とざっくばらんに話す、よい機会になったかと思います。
今年度の呼吸器内科育成セミナーはおかげ様で予定通り終了することができました。ご参加、ご支援いただきましたみなさま、ありがとうございました。来年度以降も、研修医の先生や医学生の皆様に呼吸器内科について興味を持っていただき、また、楽しく学んでいただける企画を考えていきますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
10月18日(金)から10月20日(日)にかけて、京都で第73回日本アレルギー学会学術大会が開催されました。当院からは、桑原先生が「真菌感作喘息マウスにおけるマクロライド化合物EM900の治療効果」というタイトルでポスター発表を行い、田代先生は気管支喘息の病態生理に関するシンポジウムで「TSLPはconventional DC type1を介してオゾンによる好中球性炎症と気道過敏性亢進に関与する」というテーマで発表を行いました。呼吸器内科に限らず、全国から様々な分野の先生が参加され非常に刺激的な学会でした。
田代先生 「TSLPはconventional DC type1を介してオゾンによる好中球性炎症と気道過敏性亢進に関与する」
桑原先生 「真菌感作喘息マウスにおけるマクロライド化合物EM900の治療効果」