COPD患者において身体活動の改善は重要ですが、長期的に維持するには様々な工夫が重要です。本研究は、個々の患者の病状に応じて個別歩数目標を設定することで、活動性が維持・向上するかどうかに関して評価しました。73例(介入群38例、対照群35例)で、ランダム化並行群・オープンラベル試験を実施。介入群の目標達成率は対照群と有意差を認めませんでしたが、歩数および3.0METs以上の活動時間は介入群で有意に増加しました。また、GDF-15、FABP-3、Irisin血中濃度が介入群で増加し、歩数増加例ではGDF-15が高値でした。個別歩数目標の提示は歩数増加に寄与し、GDF-15がその機序に関与する可能性が示唆されました。
COPD患者の行動変容において、個別化目標設定は有効な戦略となり得ると考えられます。
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2025:20:4103-4114. Effects of Individualized Step Targets on Physical Activity in COPD. A Randomized Study – PubMed
新年あけましておめでとうございます。昨年も多くの皆様にご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
近年、医療を取り巻く環境は大きく変化し、呼吸器疾患への対応も高度化・複雑化しています。当科では、患者さん一人ひとりに寄り添う質の高い診療を提供することを最優先に、チーム医療の充実と地域連携の強化に努めてまいります。教育においては、次世代を担う医師・医療者の育成を使命とし、臨床能力だけでなく、研究マインドや倫理観を兼ね備えた人材育成に力を注ぎます。
本年も、地域とともに歩む呼吸器内科を目指します。皆様にとって健やかで希望に満ちた一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
佐賀大学医学部附属病院
髙橋 浩一郎
写真:有明海から昇る初日の出(令和8年元旦)
毎年、11月第三水曜日は「世界COPDデー」です。COPD(シーオーピーディ)は、肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた疾患ですが、飛躍的に治療が進歩しております。薬剤治療では、長時間作用性気管支拡張薬の吸入を1日1回または2回定期的に使用します。呼吸リハビリテーションと組み合わせることで、健常な方と変わりのない生活が可能になってきました。高齢者に多い疾患ですので、高血圧や糖尿病、心血管疾患などとの合併が多いため、複数の診療科で協力し、COPDの診断・治療をより良いものにできればと考えております。
2025年11月19日(水)、佐賀新聞の朝刊に、髙橋浩一郎診療教授のコメントが掲載されました。
10月31日~11月1日、沖縄県にて第95回 日本呼吸器学会・日本結核・非結核性抗酸菌症学会 九州支部 秋季学術講演会が開催されました。
当院からは南里医師、栗原医師、田代講師、髙橋教授に加え、臨床協力医の早瀬医師、研修医の大庭医師が参加しました。ほかにも同門の先生方を含む多くの関連施設の先生方が参加され、活発な交流が行われました。大変有意義な学会となりました。
研修医の大庭医師は育成賞を受賞しました。
また、同一県内の若手医師による研修病院対抗「L-1グランプリ」には、大庭医師・南里医師に加え、唐津赤十字病院の梶原医師が出場し、20チーム以上の中で第4位と健闘しました。
学会で得られた知見は、今後の診療・教育・研究に活かしてまいります。
★育成賞★
大庭七海:Dupilumab で 改 善 し た Aspergillus udagawaeによる難治性アレルギー性気管支肺真菌症の一例
~当院からの発表演題~
南里水晶:多発血管炎性肉芽腫症を合併した全身性エリテマトーデスの一例
早瀬百々子:気管支拡張症における増悪予測因子の探索
栗原有紀:肺組織の病理検査で診断した特発性多中心性キャッスルマン病の1例
田代宏樹:シンポジウム7喘息診療の現状と課題 ~臨床的寛解を意識した個別化治療~
Treatable trait を意識したトリプル製剤の立ち位置とは
髙橋浩一郎:モーニングセミナー2喘息・COPDにおけるType 2炎症を標的とした治療戦略
https://www.linkage-okinawa.co.jp/jrsk95/index.html
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41161802
2025年10月24日(金)~26日(日)、東京国際フォーラムで開催された日本アレルギー学会学術大会(JSA 2025)が行われました。当科からは、桑原医師、田代講師、髙橋教授の3名が参加されました。会場では多くの先生方と意見交換する機会にも恵まれ、学会で得た内容は、院内カンファレンス等で共有し、診療の質向上に活かしていきます。引き続き、診療科全体で成長していけるよう努めてまいります。
桑原先生:Single-cell RNA sequencing解析で明らかになったTSLPを介した気道過敏性亢進におけるmast cellの役割
田代先生:樹状細胞由来osteopontinはマクロファージを介してオゾンによる気道過敏性・気道炎症に関与する
髙橋先生:アレルギー疾患の病態形成におけるTSLPの役割と治療標的としての重要性
スウェーデン、カロリンスカ研究所のSven-Erik Dahlén教授が、日本アレルギー学会に合わせて来日されました。Dahlén教授は、喘息を中心としたアレルギー疾患の研究において、欧州の大規模コホートの設立メンバーであり、バイオマーカー等について多くの業績をお持ちです。学会に先立ち、出原賢治教授の計らいで、佐賀大学に訪問いただきました。呼吸器内科でも、Dahlén教授をお招きし研究に関してディスカッションする機会をいただきました。大学院生の桑原雄紀医師がプレゼンし、有意義な意見交換ができました。
2025年9月28日~10月1日まで、アムステルダムで欧州呼吸器学会(ERS2025)が開催されました。当科からは、髙橋診療教授と田代講師が参加しました。世界中から10,000名以上が参加する大規模な学会です。喘息、COPD、間質性肺疾患、感染症などのセッションに参加しました。LancetやN Engl J Medに公表されたばかりの最新のデータなどについて討議され、非常に実りのある学会でした。ぜひ若い先生方にも国際学会に参加していただき、見識を広げていただきたいと願っております。
当科からは、田代講師が発表しました。
Hiroki Tashiro et al.
Single-cell RNA sequencing with cell-cell communication analyses reveals the impact of osteopontin for ozone-induced airway response.
田代先生の研究がAmerican Journal of Respiratory Cell and Molecular Biologyに掲載されました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41025995
田代宏樹先生の論文が、 Respiratory Investigation誌に掲載されました。
Remarkable response to dupilumab in refractory allergic bronchopulmonary mycosis with a giant mucus plug due to Aspergillus udagawae
Tashiro H. et al. Respir Investig. 2025; 63: 1037-1041.
PMID: 40829197
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40829197